この記事を読むメリット
・癌の三大療法を学べる
・抗癌薬の作用、副作用を学べる
・抗癌薬の作用プロセスを知れる
・骨髄の働きについて復習できる
104回午後16問
抗癌薬の副作用(有害事象)である骨髄抑制を示しているのはどれか
1.嘔吐
2.下痢
3.神経障害
4.白血球減少
正解は4の白血球減少です。簡単に解説していきます。
抗癌薬とは

癌の三大療法は
・手術療法
・化学(薬物)療法
・放射線療法
です。どの治療法がその人の癌に効果的なのか医師が適切な医療を提供していきます。1つの時もあれば、3つ使うこともあるので、人によりますね。
今回はその中の薬物療法の中にある抗癌薬について勉強していきましょう。
抗癌薬の目的
・がん細胞の増殖を抑えることで、延命・症状の緩和をすること
・癌細胞の範囲を縮小することで、手術しやすい状況に変化させること
・抗癌薬の作用プロセス
抗癌薬にも種類がありますが、最もオーソドックスな抗癌薬は細胞毒系抗癌薬です。
癌細胞の大きな特徴は「爆発的な速度で増殖を繰り返すこと」です。
ここが要となります。細胞が爆発的に増殖する=細胞の生成・分裂が一般細胞よりはるかに勝っている=DNAに作用しやすい⇨つまり不安定なDNAむき出し状態の細胞にのみ集中して攻撃できる
もっと簡単にまとめると…
分裂速度が速いものに抗癌薬は効く!
じつはこの作用機序がとても重要になってきます。それは有害事象につながってきます。
主な有害事象とは
抗癌薬が増殖する細胞に効くことはわかりましたね。では、有害事象は何があるのか?
細胞で分裂速度が速いものに効く…
細胞を勉強した人はお気づきかもしれません。そうです、白血球や血小板も普段から1日単位で切り替わっています。では、血球が生成される場所はどこですか?
「骨髄」です。
ここで抗癌薬=骨髄抑制がつながりました。
癌に対抗するための薬と書いて抗癌薬ですが、実際は細胞速度に応じて効きやすい薬でした。よって、骨髄で生成される血球たちも例外ではありません。
血球について再度勉強したい方はこちら⇩
骨髄抑制=白血球や血小板が少なくなる
つまり有害事象の一つに白血球減少、血小板減少の症状が出ることにつながりました。
これらを踏まえて、時期ごとに出現する有害事象についてまとめてみていきましょう。
時系列に沿った副作用
早速時系列に沿って副作用(有害事象)を見ていきましょう。まず、副作用を二つに分類します。それは患者が自らわかる副作用と検査によりわかる副作用です。
まずは患者が自らわかる副作用を見ていきましょう⇩
抗癌薬投与初日~数日
⇨悪心・急性嘔吐・アレルギー反応・血圧低下・不整脈・呼吸困難
抗癌薬投与数日~2週間
⇨便秘・遷延性嘔吐・筋肉痛・関節痛・食欲低下・倦怠感
抗癌薬投与2~3週間
⇨下痢・口内炎・倦怠感
抗癌薬投与3週間~
⇨脱毛・抹消神経障害
投与初日には、アレルギー反応や呼吸困難など生命を脅かすリスクが多くあります。必ず処方通りの投与と適切な看護介入をするように勉強しておきましょう。
次に検査で分かる副作用はこちら⇩
抗癌薬投与1~2週間
⇨白血球減少・血小板減少(根拠はそれぞれの寿命です。再確認は上のURLをクリック!)
抗癌薬投与2~4週間
⇨貧血・心機能障害・肝機能障害・腎機能障害
まとめ
過去問の選択肢はどれも有害事象でしたが、骨髄抑制といわれると焦ってしまう学生もいると思います。
・骨髄は何をしている場所なのか
・抗癌薬の作用プロセスはどうなのか
この二つがわかっていればもうサービス問題に早変わりですよ!ただ、机上の勉強では癌は難しくありません。病棟で初めて有害事象を目の当たりにして、そして患者のニーズに答えられるのか…看護師としての本領発揮はここからですよ!
こちらも一緒に勉強してみませんか?
以上!