赤ちゃん(新生児)について知ろう
生まれたての赤ちゃんは、成人や1歳以上の子どもとは大きく異なることがたくさんあります。
前回までに学習した原始反射もその一つです。まだ読んでいない方は是非こちらも一読ください!
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「大きく育ってね。」

「大丈夫、なんせこの子は3000gで生まれたんだ。」

「そうね、いっぱい食べて飲んで大きくなるのよ。」
…時は流れ3日後。

「体重が減ってる!?あれだけ飲んでるのに!!!!」
大きく異なることの一つに、このような「生理的体重減少」があります。
普通に考えて、飲んで寝てるだけなら体重は増えて当たり前ですよね。しかも赤ちゃん(新生児)なんて1年で結構成長することは皆さんご存じのはずです。
なのになぜ!?という質問について解説を交えていきますので、一緒に勉強していきましょう。
出生時の体重による分類
何事も基準値は大切です。まずは、出生時の体重による名称の分類をまとめてみていきましょう。
超低出生体重児………………1000g未満
極低出生体重児………………1500g未満
低出生体重児…………………2500g未満
正期出生体重児…………2500g~3999g
高出生体重児(巨大児)……4000g以上
超巨大児………………………4500g以上
こちらが出生時の体重別名称になります。正期出生体重児の基準値をしっかりと覚えておくことで、後は500g(ペットボトル1本分)ずつの体重の変化で名称も変化することが分かりますね。
低出生体重児は未満、高出生体重児は以上となっているので注意して覚えましょう!
例・1000gは極低出生体重児
・4000gは高出生体重児
次に、出生時体重とは別の角度で勉強していきましょう。
体重の推移
「出生時の体重が分かったからなんだというんだ!体重が減る話が見えてこないぞ!!」
ごもっともです。その回答にたどり着く前に、もう少し知識をつけていきましょう。
小さい子供の成長ってとても早いですよね。人間の成長過程において、0歳から1歳までの成長速度を上回ることはないと言われています。これも考えてみれば当然のことで、1年間で今の身長の倍以上になるなんてありえないですよね。
ちなみに、「1年後には生まれた時の身長は1.5倍、体重は3倍ほど」になります。これを踏まえて、体重の推移を見ていきましょう。
一日の体重増加量
生後1か月まで→約40g/日
生後2~3か月まで→約30g/日
生後4~6か月まで→約20g/日
生後7か月~→約10g/日
上記の表を丸々と覚えるのって難しいですよね。実は、この数字はあくまで目安となるので、国試ではこのような細かく、かつ不安定な数字は出題されません。
ここで覚えるべきは、「1歳になるまで1日30gずつくらい増えていく」と覚えておくことです。
もしくは、「3~4か月で体重は2倍になる」ということを覚えておけば、計算式を用いて一日当たりの体重増加量を求めることもできます。
出生時の体重が3000gだとしましょう。
3~4か月後の体重は6000gになりますよね。この差は3000gです。3か月で計算すると、1日で約33g増加していることになります。4か月で計算すると、1日で約25g増加していることになります。
なので、おおよそ30g/日で体重が増えていくとなります。
自分の暗記しやすい方法で勉強していきましょう!

生理的体重減少の仕組み
さて、本題に戻ってきました。なぜ赤ちゃん(新生児)の体重は減少するのか。
イメージしながらお読みください!
赤ちゃんは生まれるまで、羊水というプールに潜っている状態です。栄養はへその緒からもらっています。体を作る過程で、心臓は生まれる前から動いていますよね。肺も、胃も、腸も同じです。
ですが、赤ちゃんは羊水を胃や腸、肺の中まで満たしています。生まれた瞬間に産声(第一声)をあげますよね。
産声は体内に残っている羊水を吐き出せた証とも言えます。産声を上げた瞬間に、体内にある羊水はほとんど排出されますが、流石に腸や肛門付近まである水分を外へ吐き出す力は持っていません。
いくらかの羊水を体内へ残したまま、初めての体重測定になります。
そうです、体重減少の主要分は水分です。体内に残っている余分な水分の排出こそ、1つ目の体重減少の要因といえるでしょう。
もう一つ代表的なのがあります。私たちもする排便です。
先ほど勉強したように、胃や腸は生まれる前から動いています。消化管内の不要になった細胞は、大人と一緒で便として排泄されます。体内にもともとある便も一緒に体重として計っているので、もちろん排便すれば体重は減少します。これが2つ目の要因です。
赤ちゃんは生まれてすぐに母乳やミルクを飲みますが、それでも水分と排便の量を丸々取り戻すのに3日~2週間ほどかかります。

生まれてから約5日間は体重が減っても不思議ではありません!

そして、その体重減少の幅は体重の「約5~10%」です。生後1~2週間で出生体重まで復帰しますが、哺乳量などにより個人差があります。体重減少率の求め方はこちら⇩
例として解いてみましょう。
Q出生時体重は3000gでした。今の体重は2850gでした。生理的体重減少の割合は幾つでしょうか。
式に当てはめていきましょう。
(3000-2850)÷3000×100=5
つまり、この子の生理的体重減少は5%と求められます。
まとめ
今回は新生児の特徴の一つである生理的体重減少を一緒に勉強しました。看護学生や新人看護師、一人目のお子さんで子育てが初めての方はイメージを持つことが難しいかもしれません。
最後まで流し読みして、自分が大切だと思う個所をピックアップする力も大切です。
式だけ暗記するのも、知識を点で覚えるのも自由です。しかし、看護の知識は膨大なため、暗記では限界が来るので、何かきっかけになること、この知識を覚えていれば、暗記が簡単になるといった勉強法を確立できるお役に立てれば光栄です。
イメージを持ちにくい方は、先輩ママや、子育てを終えた両親に昔の自分はどんな子供だったのか聞いてみるのも面白いと思いますよ!
病院では出産前の不安に寄り添う対応をしてくださる所が増えてきています。聞きにくいことでも、看護師や助産師、医師へ気軽に聞いてみてください。
聞かずに育てるのと、聞いてから育てるのでは心の在り方が変わると思います。今はネットに様々な情報がのっていますので、聞きにくい方は調べて、取り入れていくのも一つの手ですね。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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