この記事を読むメリット
・ゴードンの11の機能的健康パターンを順に学習できる(1~4番まで)
・具体例でアセスメントと情報収集の違いを復習できる
教科書には「栄養・代謝ではこの情報が必要」と書かれていたり、身体機能についてはこの項目に書くこと、とざっくりしか書かれていないこともあります。
今回はすべての項目を深堀していくことで、知識の整理を図っていきます!
健康知覚・健康管理
健康知覚、健康管理と漢字を見てもざっくりとしすぎていて、何が含まれるのかあいまいになりがちです。
健康知覚:患者が健康状態をどのように認識しているのか
健康管理:現在の健康状態に関する行動や思考について
これだけでわかるなら苦労しませんよね…では深堀していきます。

問いかけがあいまいな場合は質問項目を作ってしまうとわかりやすいですよ!
健康知覚・健康管理では「過去・現在・未来」と情報を3つに分類することができます。これらについて質問項目を作成すると
・これまでの健康に関する認識はどうだったのか
・現在の健康に関する認識はどうなのか
・今後の健康に関する認識はどうなのか
と分類できます。
講義や実習では事例が出されると思います。それらを手元に置いた状態で照らし合わせてみましょう。まずは事例の情報を11のパターンに振り分ける作業から始めましょう。
「項目→必要な情報、導き出せる情報について」
・身長、体重、BMI→肥満度
・既往歴、現病歴→疾患に関する基礎知識が必要
・飲酒の有無→〇本/日を〇年間など期間と量
・喫煙の有無→ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)
・(運動量→1週間の運動量、時間、習慣の有無)→活動・運動に入ることもある
・治療・受診の有無→認識の確認(治療意思の程度、疾患への理解度)
・服薬状況→薬剤名、量(用途の知識)
・疾患も含める健康状態→咳や嘔吐といった現在ある症状のこと
これらが基本となります。
これらの情報収集で得た情報を使ってアセスメントしていくかと思いますが、アセスメントの近道は「どの情報とどの情報がリンクしているのか」を知ることです。

健康知覚・健康管理の情報量が多すぎるな…既往歴とか知識不足で情報が取り切れていない…

悔いても情報は舞い降りてきません!
今ある情報を11のパターンに振り分けましょう。
やる気がない…という方は「11のパターンの後ろから」進めることをおススメします。
なぜなら書く情報量、必要な知識が少ないから手を付けやすいからです。自然と余った情報のほとんどが健康知覚・健康管理に入るので、気持ちが楽になります!
具体例(S情報・O情報)
S:タバコは毎日吸っているよ
O:タバコは20年間毎日5本程度→アセスメントでブリンクマン指数記入
S:薬はもらっていたけど最近飲んでいないなぁ
O:〇月〇日より2週間分△という薬剤の処方あり、残薬8個→アセスメントで管理能力、意思の確認
栄養・代謝
健康知覚・健康管理と打って変わってとてもイメージしやすくなりました。早速見ていきましょう。
こちらも「過去・現在・未来」と分類して記入すると整理しやすいですよ!
栄養・代謝の項目はこちら⇩
・食事内容→摂取量、形態、回数
・入院後の病院食の有無→固形食や軟菜など
・嚥下能力→誤嚥の状態、リスク、義歯の有無
・水分摂取量→体重、BMIから計算した適切な水分量、皮膚の乾燥程度、輸液
・褥瘡の有無→栄養の大きな指標となる「ブレーデンスケール・K式スケールなど」
・生化・血液データ→アルブミン(alb)
総蛋白(TP)
赤血球(RBC)
ヘマトクリット値(Ht)
ヘモグロビン(Hb)
ナトリウム(Na)
カリウム(K)
中性脂肪(TG)
総コレステロール(TC)
ヘモグロビンA1C(HbA1C)
血糖値(BS)

過去の食習慣が要因となる疾患も多くあります。患者からのS情報(主観的情報)を鵜呑みにせず、生化・血液データの数値を見ておきましょう。
「ばれたくない、硬い食事が食べたい」という欲求のために虚偽の発言をする可能性も考慮しましょう。看護のやさしさはすべての肯定ではありません。
忘れやすい部分を太字にしておきました。褥瘡を活動に入れてしまったり、ナトリウム・カリウムなどの値をわからないからと健康知覚・健康管理にいれがちです。
水分や食事に含まれている電解質について忘れないようにしましょう。
水分摂取量の中に輸液を含めておくこともポイントです。
具体例
S:入れ歯になってから硬いものが食べにくくなったよ
O:入院前から小食、回数は2回程度。肉は食べない→病院食とつなげてアセスメントできる
S:年取ってから水分とか気にしたことないなぁ
O:Na、K基準値より下回る→水分摂取量の確認からアセスメント

排泄
排泄でも水分を扱いますが、こちらはin-outでも特にoutに重きを置いています。摂取量は栄養、ではoutといえば…?
しつこいようですが、「過去・現在・未来」と分けて記入しておきましょう。過去と現在の情報は並べて書いておくとアセスメントしやすくなります。
排泄の項目はこちら⇩
・排尿→回数、量、性状、排尿時痛の有無、残尿感
・排泄→回数、性状、排泄時痛の有無、残便感、出血の有無
・排泄行動→トイレ移動の有無、安静度(ベッド上安静や端坐位までなど)、排泄場所
・膀胱留置カテーテルの有無→いつからか、なぜ必要なのか
・下剤の使用有無→通常時で便秘、下痢の症状の有無
・排泄介助の有無→支援が必要か、どこまで自力でできるのか
・腸蠕動音→亢進、減弱、無音、正常の確認、排ガス(おなら)の有無
・(汗の有無→汗の量、冷や汗、放置していないか)→薬剤の副作用なら健康知覚・健康管理へ、活動時の汗なら活動へ、通常時なら排泄へ、精神面ならコーピング・ストレス耐性へ

入院前の情報がない場合、疾患や副作用で便秘or下痢が続いている異常事態なのかわかりません。
入院時のアナムネ(入院時データ、個人データなどの名称かも?)で情報は取得しているはずなので、そちらを見ておきましょう。
必須です。
汗については難しいところがあり、水分と称して栄養に含めるのか、排泄の腎機能に含めるのか、精神面で冷や汗などはストレス耐性に入るのか悩ましいところです。
異常時のみアセスメントすれば問題ない…ではありません。問題ないことがアセスメントにつながることもあるため、気になったら先生や先輩に直接聞いてみましょう。その人の考え方があるので必須項目にするか悩みどころです。
具体例
S:最近トイレに間に合わないことがある
O:夜間失禁のみから昼夜問わず失禁することあり、尿意あり→トイレに近い部屋、出口に近い場所へ移動
S:最近うんちがでてないような気がする
O:入院前3日、入院後2日で排便と便意なし。→腸蠕動音必要、トイレへの促しから摘便へ看護問題を移行するなど変更アセスメント
活動・運動
活動・運動はややこしくする一因です。トイレをするにも運動、食事をするのも運動、何をするにも運動や活動は付きまといます。
「同じ情報を書いてしまい、気づけばアセスメントが一緒になってしまう…」という経験があるかもしれません。
活動・運動の項目はこちら⇩
・運動機能→歩行できるか、ずり足、つまづくことがないか、杖が必要か
・呼吸機能→活動時に支障がない呼吸機能の有無、肺活量や努力呼吸など
・ADL→日常生活がどの程度患者自身で行えるのか
・住宅環境→自宅について(手すりの有無、2階建てか、段差が多いのか)
・バイタルサイン→活動時、安静時(体温、呼吸、脈拍)
・運動歴・職業→過去スポーツや日常的な散歩など、職業で力仕事や立ち仕事など
・余暇活動の可不可→入院中にできる運動の確認(折り紙レベル、散歩レベル、低負荷トレーニングレベルなど)

活動・運動も悩むところが多いです。
・移動のみ
・活動のみ
~のみとつけてみましょう。
トイレするために歩行するのではなく、たまたまトイレのために歩くだけで、ピックアップするところは歩行と!
活動・運動の基本ができているかどうかで、アセスメントのしやすさが変わります。
アセスメントの例として
・活動・運動+栄養
・活動・運動+排泄
・活動・運動+健康知覚・健康管理
のように様々な組み合わせができます。
他の項目ではアセスメント内容が多くなってしまうことがあるため、セットのアセスメントを課題の紙に書いてもいいかもしれません。
まずは活動・運動のみのアセスメントから、紙の余った分はすべて足し算の項目でアセスメントする→結果的に全体像や看護計画がとてもスムーズになります。
患者の全体が見えてないのにいきなり看護計画や全体像は作れません。
「楽をしたいなら情報の整頓→1項目のみのアセスメント→複数項目でのアセスメント→全体像→看護計画」
この流れを覚えておきましょう。
具体例
S:歩くと息切れがする
O:20mほどの移動のみ可能、それ以上は付き添い必要あり→検査などの移動は車いすにする
S:退院したらすぐに仕事に復帰したい
O:職業は大工。重い荷物を持ち運ぶが、現在は低負荷のみ→どこまでいけたら退院なのか、もしくは退院後どれだけのリハビリが必要なのか
まとめ
今回はゴードンの11の機能的健康パターンを上から4つ紹介しました。残りのパターンについてはこちら⇩
また、看護計画や全体像でどんな優先順位で作ればいいのかわからない…という人は、マズローの基本的な欲求段階を確認しておきましょう。生理的欲求に近いほど優先順位が高くなります。
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