この記事を読むメリット
・初乳・成乳の役割を知ることができる
・輸入・成乳の特徴を知ることができる
初乳の特徴で正しいのはどれか【103回午前66問】
成乳と比較した初乳の特徴で正しいのはどれか
1.ラクトアルブミンが少ない。
2.IgAの含有量が多い。
3.粘稠度が低い。
4.乳糖が多い。
正解は2のIgAの含有量が多い、です。今回は初乳と成乳の違いや、初乳の特徴についてまとめて勉強しましょう!
初乳の役割とは
初乳の役割を勉強する前に、初乳、移行乳、成乳がどの時期に分泌されるのか確認しておきましょう。
初乳、移行乳、成乳はいつでるの?(産褥とは?の記事に書かれていますよ!)
さて、事前学習が済んだところで、さっそく役割を見ていきましょう。
初乳の主な役割といえばこちら⇩
・免疫力定着&上昇
・胎便排出促進
・視覚成長の補助
大きく分けるとこの3つになります。ひとつずつ解説していきます。
・免疫力の定着&上昇
これは免疫グロブリンであるIgAが関係しています。そもそも免疫グロブリンはタンパク質が素材になって作られているため、「初乳には豊富なタンパク質が含まれている」ことがわかります。
免疫関連では、初乳の最大60%ほどに白血球が含まれます。胎児が胎外へ出た後、すぐに菌やウイルスのある空間となります。当然、細心の注意を払った新生児室などありますが、それでも0にはできませんよね。
環境適応という面で見ても、外の世界で生きていくために自分で免疫を生産しなければいけません。しかし、新生児は機能が未熟。
そこで初乳に含まれている白血球やIgAを摂取することで、自己免疫を獲得するまでの死のリスクを下げる働きがあります。
免疫でぜひ覚えていただきたいのは、初乳にはsIgAと呼ばれる物質が含まれています。血液内に取り込まれて活動する免疫と異なり、このsIgAは初乳を摂取後、消化管に張り付き、粘膜として免疫機能を果たします。

・胎便排出促進
初乳には胎便を排出促進する作用があります。新生児が飲むことで、「下剤」のような役割を果たしています。
そもそも胎便(タール便:黒・粘稠度高い)とは、胎児中に不要となった細胞の体や不要な養分を蓄えており、成人同様「いらないから出す」です。
胎便の排出が促進されると何がいいのか?
それは新生児黄疸のリスクが減ることです。
成人であれば、赤血球産生⇨破壊⇨直接・間接ビリルビンの変更⇨消化管へ移動⇨便として排出
ですが新生児の肝臓は未発達です。うまくビリルビンが分解できず、どんどん蓄積していきます。そこで登場するのが初乳です。
初乳はビリルビンを消化管へ排出する手助けをしてくれるので、結果新生児黄疸のリスクが減ります。
・視覚成長の補助
ビタミンAが視覚をつかさどっていることはご存じですか?成人でも深刻なビタミンA不足で最悪失明のリスクが出ています。詳しくはこちら⇩
当然新生児でもビタミンAは視覚に関与しています。新生児は生まれた直後から体内にためている成長に必要な栄養を使用していますが、ビタミンAは不足しがちです。その不足分を初乳から吸収し、成長していきます。
成乳の役割とは
成乳は初乳と比べて簡単です。
成乳の主な役割は「成長」の一点に尽きます。初乳で必要な栄養を確保したら、次は体を大きくしたり、臓器を成長させるために糖分が必要になります。
言い換えれば
「初乳はタンパク質、成乳は糖分」が大切です。これが大きな違いとなります。

思考の成長にワンポイント!
糖分>タンパク質
かつ60%が白血球なので、初乳と成乳、どちらがエネルギー量が高いかわかりますか?
正解は糖分。
脂質が1gあたり9㎉、糖とタンパク質は4㎉です。つまり、白血球が多い分エネルギー量は小さくなるので、必然的に成乳の方がエネルギーを持っていることになります!

まとめ
初乳と成乳の違いがよく勉強できたと思います。というのも、最近では市販のミルクで育てる、母乳がでない、といった母親に向けてミルクが新生児向けに最適化されています。
どちらにもメリットデメリットはありますが、母乳が出るなら、ぜひ母乳で育ててあげてほしいなと思ってます。
新生児は本来死のリスクとともに成長します。実習で新生児に触れる時、手は洗いましたか?消毒は?部屋の空気は?温度は?
とにかく大切に育てていかなければ1人で生きていけません。そのことをよく念頭に置いて貴重な体験をできるよう祈ってます。
こちらも一緒に勉強してみませんか?⇩
以上!