この記事を読むメリット
・ネフローゼの定義がわかる
・ネフローゼの4大症状についてわかる
ネフローゼ症候群とは
Qネフローゼ症候群とは?
A「単一」の疾患名ではありません。心不全のように様々な原因で決まった症状を発症する状態をまとめてネフローゼ症候群といいます。
ネフローゼには明確な診断基準があります。それがこちら⇩
1:タンパク尿:3.5g/日以上が持続する
2:低アルブミン血症:血清アルブミン値3.0g/㎗以下
3:浮腫
4:脂質異常症(高LDLコレステロール血症)
(平成22年度厚生労働省難治性疾患克服研究事業進行性腎障害に関する調査研究班の基準より)

ネフローゼには
一次性(原発性)ネフローゼ症候群
二次性(続発性)ネフローゼ症候群
と分類されます。一次性は腎臓が原因のもの、二次性は腎臓以外の疾患に伴い腎障害が引き起こされるものです。
一次性ネフローゼには病型がいくつか存在します。
・微小変化型→ステロイド有効
・巣状分節性糸球体硬化症→難治性が高い&二次性も発症しやすい
・膜性腎症→糸球体の変化によるふるい機能の低下
・膜性増殖性糸球体腎炎→稀&血尿あり
とあります。それぞれに特徴がありますが、一般的なネフローゼの症状、看護は大きく変化しないため、基本知識を抑えましょう。
二次性の主な原因疾患はこちら⇩
・糖尿病(DM)などの代謝性疾患
・膠原病(こうげんびょう)
・悪性腫瘍
・循環器疾患
・アレルゲン
・薬物反応
・臓器移植
H22年の調査では、60%が原発性ネフローゼで、二次性で最も多いのは糖尿病(DM)が原因による腎障害です。
次の章で詳しく解説していきます!

ネフローゼの4大症状とは
ネフローゼといえばこちらの4大症状が国試でも問われるレベルで必須知識となります。
タンパク尿、浮腫、脂質異常症、低アルブミン血症。
ネフローゼが単一の疾患名ではないと説明してきましたが、これらには機序のつながりがあります。

ただ4つの症状を暗記するのでは忘れてしまいますが、機序を説明できるようになれば絶対に忘れることはありません。
わかりやすく解説するので、しっかりと読み込んでいきましょう
【ネフローゼの始まりとは】
基本的な流れを抑えましょう。
・タンパク尿→低アルブミン→浮腫
・タンパク尿→低アルブミン→脂質異常症
4大症状はこのように機序の流れが決まっています。深堀していきます。
タンパク尿の機序とは
・タンパク尿
ネフローゼは腎障害により引き起こされます。腎臓では血液から不要な水分量、不純物などを回収する働きがあります。
糸球体やネフロンという単語を聞いたことはありませんか?腎臓では、濃縮、ろ過、再吸収などの役割を常に果たしています。
1日に150ℓほどの血液が流入し、再吸収で99%以上の水分は血管へ帰ります。残りの1%(1~1.5ℓ)程度が尿などにより体外へ排出されます。成人では一日の水分摂取量の目安が2ℓ前後といわれている理由です。
話を戻します。
ネフロンの機能=腎臓の機能が低下する
→ろ過する網目が変形する
→通常通れないサイズだったタンパク質が排出する尿へ移動する
→尿中にタンパク質が検出される
これがタンパク尿の機序です。タンパク質が本来通れないはずの道に入ってしまうことで、結果として体外へ排出されます。
低アルブミン(タンパク質)血症の機序とは
・低アルブミン血症
タンパク尿の機序からわかるように、体内から極端にタンパク質が減っていきます。
復習になりますが、タンパク質の基準値とアルブミンの基準値はこちら⇩
TP(総たんぱく質):6.5~8.2g/㎗
alb(アルブミン):3.8~5.3g/㎗
タンパク質=アルブミン+その他のタンパク質のため、アルブミン=タンパク質と思っている人もいることでしょう。
アルブミンが半分以上を占めていることがわかれば大丈夫です。

血液中に含まれているタンパク質=アルブミンがかなり体外へ排出するということは「低アルブミン血症」になります。そして低アルブミン血症になるということは…
受験生の2人に1人が利用する圧倒的なわかりやすさ!まずは無料でお試し。浮腫になる機序とは
・浮腫
浮腫になる理由はいくつかありますが、ネフローゼにより引き起こされる理由として一番目を詰めるところは「膠質浸透圧」です。
膠質浸透圧とは?となる方もいるでしょう。
浸透ということは、体内の環境を一定に保つために水分や電解質、様々な分子を使い物質の移動をすることということはなんとなくわかるでしょう。
膠質:こうしつ
膠質とは、「別名:コロイド」といいます。コロイドとは、人間の視力では見えませんが、分子(原子)よりも大きい物質が分散している状態を指します。

間違った知識ですが…どうしても覚えられない!という方は
タンパク質で浸透圧を調整していることを膠質浸透圧と覚えてもいいでしょう。
こうして覚えることで、「タンパク質が減る=体内の水分移動が難しくなる=一部にたまるから浮腫になる」とつながります。
ただし、膠質=タンパクだけではないので注意して覚えて下さいね!
膠質浸透圧の一部を担っているタンパク質が水分の宝庫である血液から大量に消失したらどうなるのか?
タンパク質がない分水分の移動が制限されたり、濃度調整が上手くできなかったり…とにかく体内の水分移動が難しくなります。
そうすると浮腫が起こるようになります。
浮腫の一番起こりやすい代表といえば「足」です。
これはは2つの原因があり
・心臓から遠いため血流の渋滞が起こりやすいから
・立つ、座る時間が長いため重力で下に溜まりやすいから
です。
タンパク質の減少と、うえ2つの原因が重なり、浮腫が発生します。
これ以上浮腫が進行しないように「塩分制限」と「安静」が求められます。
塩分=ナトリウムは浸透圧にかかわるため、制限するのは当然です。
安静ですが、常にベッドうえで寝ていてほしい…というわけではありません。適度に足を動かすことで血流の渋滞を改善したり、マッサージをすることでむくみを取り除いたりは行いましょう。激しい運動にをするとかえって浮腫が悪化するため絶対にやめましょう。
脂質異常症(高LDLコレステロール)の機序とは
脂質異常症が一番機序が難しく、これだけ暗記になっている学生も多いと思います。それもそのはず、かなり深い知識を要求されるので、本当に苦手…という方は暗記してしまいましょう。
それでは、機序を説明していきます。
リポタンパク質という物質が存在します。簡単に言うと
リポタンパク質=脂質+(アポリ)タンパク質
リポタンパク質=コレステロール+中性脂肪+タンパク質
という式になります。
流れはこちら⇩
タンパク尿が発生し、血中タンパク質が低下する
→代償として肝臓でのタンパク質合成が活性化される
→リポタンパク質(VLDL)が増える
→VLDLにより高LDLコレステロール血症になる

タンパク質が減るとどこかでタンパク質を作ろう!という働きが生まれます。肝臓がタンパク質を作れるので活性化する代わりに、LDLも一緒に作ってしまうと覚えましょう!
※LDLとは悪玉コレステロールのことです。LDLはリポタンパク質の一つですよ。
アルブミンを作るためにLDLも増えますが、ネフローゼの指標として一番抑えておきたいポイントはLDL値です。
逆を言えば、LDLが下がっている=タンパク質が基準値に戻っている=浮腫や低アルブミン血症は消失するという流れが出来上がります。
そのため、食事療法と運動療法でLDLの値を下げることから始まります。
まとめ
ネフローゼとは、4つの大きな症状の総称であり、4つにはそれぞれ関連した機序がある。
それを改善するには食事療法や運動療法によりLDLを下げることが最も需要ということがわかりましたね。
今後も疾患や症状、解剖整理について記事を投稿していくので、良ければブックマーク、Twitterのフォローをお願いします。
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