この記事を読むメリット
・胃の特徴がわかる
・体内㏗について復習できる
・肥厚性幽門狭窄症が簡単にわかるようになる
肥厚性=大きくなること
幽門=胃の出口
狭窄=狭くなっている
詳しく勉強していきましょう!
胃の形態機能を復習しよう
胃のイラストを描けますか?

大方このような形になります。
疾患以前に、まずは胃の噴門部、幽門部の部位を確認しましょう。
・食道から胃につながる部位を噴門部
・胃から腸につながる部位を幽門部
といいます。

噴門の「噴」はふんか(噴火)の文字と同じです。
胃から逆流して嘔吐するときに「ぶふぁー!」と噴き出るように吐くので、ふきでるほうが噴門!と覚えましょう。
噴火するから上、残りの幽門ですね‼
噴門はストレートに開いている一方で、幽門は常に閉じています。
食べたものが消化されずに勝手に進んでしまうことを避けているためです。正確には、幽門は括約筋なので「弱酸性or中性の場合は開く」「強酸性の場合は閉じる(腸のダメージ軽減)」と動きが決まっています。

豆知識!
液体なら数分、個体なら1~2時間、脂成分が多いと3~4時間で胃から腸へ移動します。
・胃液の復習をしましょう
胃液とは?と聞かれたときにどのような知識を持っていますか?
・強酸性
・PHが1~2
・胃にある液
・Cl(クロール)が多く含まれている
このあたりでしょうか?もし体内㏗について不安な場合はこちらの記事を読んでみてはいかがですか?⇩
胃液とは、「塩酸、ペプシノゲン、粘液」を足したものです。深堀していきます。
胃には、当然胃液を分泌する場所があります。それは「胃腺」と呼ばれており、胃腺は3つの種類に分けることができます。
1:壁細胞→塩酸の分泌
2:主細胞:ペプシノゲン(タンパク質分解要員!)の分泌
3:副細胞:粘液の分泌
胃の中でも、胃の中心部分(胃底部や胃体部)では塩酸やペプシノゲンといった酸性の高い物質が多く分泌され、噴門・幽門部では食物の移動をスムーズに行ったり傷防止のために粘液が多く分泌されます。
基本的な胃の形態機能について学習が済んだので、次の章では疾患理解について勉強していきましょう。
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肥厚性幽門狭窄症とは
早速特徴、症状、原因、治療法についてみていきましょう。

肥厚性幽門狭窄症とは、幽門部が肥大しており、正常に腸へ母乳が通過しないため、胃に残ってしまうことで嘔吐で排出する現象のこと。
【特徴】
・生後2~3週間から2~3か月ほどで症状が現れる子が多い
・1000人に1~2人程度
・男女比が男:女=5:1
・第一子に多い
・嘔吐で発覚することが多い
【症状】
・噴射様嘔吐(ぶふぁーと吐き出す)(噴水様嘔吐とも言います)
・嘔吐後の哺乳意欲あり(飲めてないから空腹のまま)
・脱水症状(水分の排出が多いため)
・電解質異常(胃液に含まれるCl排出による体内のアルカローシス化)
・生理的体重減少以上の体重減少(エネルギー不足による正常な体重増加の逸脱)
【治療】
治療には2段階あり、対症療法と根治療法に分けられます。
対症療法:現在の症状に対する治療
例:咳が出る→鎮咳薬
根治療法:根本的な解決を目指す
例:腸がねじれている→手術で正常に戻す
この違いです。これら二つの療法を肥厚性幽門狭窄症に当てはめていきます。
・現在出ている症状:脱水、電解質異常
対症療法→点滴による補水、電解質投与による調整
・原因:幽門部の肥厚のみ
根治療法→手術により肥厚した幽門部の切開する(オペ後数日で退院予定可能)

電解質を理解しよう
Qなぜ肥厚性幽門狭窄症で嘔吐すると電解質が減るの?
A胃液にはClがあり、Clはマイナスイオンだから。もっと詳しく知りたい方はこちら
国試過去問の事例を見てみましょう。
【第96回】
1か月の乳児。噴水状に嘔吐している。児の消化管の狭窄部位はどれか。
1.食道
2.噴門
3.幽門
4.回腸
正解は幽門です。
【第92回】
肥厚性幽門狭窄症の子どもで失われる電解質はどれか。
1.ナトリウム
2.カリウム
3.クロール
4.カルシウム
正解はクロールです。
このように、国試で聞きなれない疾患名でも、幽門、噴門という部位の名称や胃液の成分を知っていることで十分に解ける問題へと早変わりします。
夏が終わるまでは疾患理解よりも基礎知識をとにかく詰め込みましょう!
僕も適度に基礎知識を補う記事を更新していくので、良ければ一緒に勉強しましょう!
以上!
